なんともたまらないゆるーい見た目をしているヌートリアですが農作物を荒らす害獣としても知られています。元々は日本に住んでいませんでしたが近畿地方を中心に生息範囲を広げています。そんなヌートリアの生態について紹介していきます。
ヌートリアとは
ヌートリアは齧歯目ヌートリア科です。齧歯目ですのでネズミやリスの仲間ということになります。動物園などでも見られるカピバラは現在で最も大型な齧歯目です。原産国は南米のアルゼンチンやチリ、ボリビアです。ヌートリアは良質な毛皮であるため、軍用目的で日本国内で養殖は始まったとされています。太平洋戦争が終結すると毛皮の需要が減少したことから野生に放たれたものが野生化しました。主に西日本エリアを中心に飼育されていました。
ヌートリアの生息エリア
西日本エリアで飼育されていたこともあり、近畿地方を中心に生息しています。岐阜県、愛知県、京都府、大阪府、兵庫県、三重県、鳥取県、岡山県、広島県に定着しており、徐々に生息エリアを拡大しています。
ヌートリアの形態・生態
頭胴長は約50~70㎝です。尾長は約30~40cm。体重は4~7kgです。体の色は茶褐色で小さな目と耳をしています。ネズミの仲間らしく、上下2本の前歯(門歯)は大きくてオレンジ色をしています。横顔が四角い形に見えるのが特徴で、後足には水掻きを持っています。
主な生活区域は河川や湖沼、ため池の周辺です。あまり水場から離れて活動することは少なく、水域を泳いで移動することもしばしばあります。天敵に出会した時など危険を察知すると潜水することもできます。土が盛り上がっている土手などに直径20~30cmくらいの穴を掘ってトンネルを作り寝ぐらにします。その際、出入り口は複数作ります。深夜や日中に活動することもありますが、基本的には夕方や明け方に活発に活動します。毛皮がありますが寒さにはそれほど強くないため、冬場はあまり活発に活動しません。
ヌートリアによる被害状況
住居に侵入したり住み着くといった被害はあまりないようですが、農作物への被害が発生しています。全国でおおよそ6,000万円前後の被害金額で推移していて、2018年度では約6,500万円の被害金額でした。稲、野菜、芋類、果樹の順に被害が多い状況です。そのほか、ヌートリアが掘った穴が原因でため池や堤防が崩れることもあるようです。狭い範囲で数多くの巣穴を掘るせいで堤防の強度が下がってしまうなどの被害も懸念されています。
ヌートリアによる被害を予防する方法
主に農作物の被害を予防する方法ですが、水辺から農地までの経路にヌートリアが移動しにくいように対策を講じることで予防効果が期待できます。
- 田畑の周りの草を刈り見通しを良くする
- 堤防や土手にある巣穴の周りの草を刈る、焼き払う
こうすることによって水辺から離れたがらない性質を持つヌートリアの移動経路を断つ効果と餌場を減らす効果が期待できるようです。田畑への侵入を防止するためにネットや金網、トタン板を設置し侵入を防ぐことも有効でしょう。