食べ物を手で持ち洗うような仕草が有名なアライグマですが、野生動物ですから危険な一面を持っています。農家にとっては農作物を荒らす厄介者でもあります。住居に住み着いてしまうなどした場合は生活に悪影響を及ぼすこともあります。そんなアライグマの生態や住居に住み着いてしまった場合の対処法などを紹介していきます。
目次
アライグマとは
元々、アライグマはカナダ南部から中米パナマにかけて生息していました。日本にはペットとして輸入されましたが飼育しきれず捨てられるなどして野生化しました。アニメ番組で取り扱われたことで一般に広く知られるようになりました。
主に果実や野菜を食べますが小型の哺乳類や鳥、魚も食べることがわかっています。食べ物を洗う理由は、獲物を掴む時の名残という説や、雑菌を洗い落としているなど諸説あります。
アライグマの生息エリア
日本国内で野生化したアライグマはほぼ全ての都道府県で確認されています。定着が明らかになってる都道府県は北海道、福島県、茨城県、栃木県、群馬県、埼玉県、千葉県、東京都、神奈川県、福井県、長野県、岐阜県、静岡県、愛知県、滋賀県、京都府、大阪府、兵庫県、伊三重県、奈良県、和歌山県、鳥取県、島根県、広島県、山口県、香川県、愛媛県、福岡県、佐賀県、長崎県です。分布はさらに拡大していると予想されていて、どこにいてもおかしくない状況です。
アライグマの形態・生態
⑴大きさ
頭胴長は40~60cmほどです。尾長はおよそ25~30cmです。体重は4~10kgあり、冬になると皮下脂肪が増えるため10kgを超えることもあります。オスの方がメスよりも体が大きくなります。
⑵体の特徴
アライグマは手が最も特徴的です、正確には手ではなく四肢と呼ばれますが長い5本の指を持っており、その足跡は人の手形のようにも見えます。長い指を器用に使うことによって、前足で獲物を掴んだり、後足だけで立ち上がることもできるのです。体全体は灰褐色で、目の周りが黒くマスクをつけているような見た目をしています。
⑶行動
アライグマは夜行性です。日中は寝ぐらで体を休め、夜になると獲物を探しにいきます。水辺を好む習性があり泳ぎが得意です。木登りも得意なので河川やため池付近だけでなく、森林や農地、市街地でも生息ができます。季節に応じた採食をするため行動範囲は季節的な要因によって変動します。
⑷繁殖
普段はオスもメスも単独で生活をしますが、発情期はペアをつくります。主に春頃に出産しますが、夏から秋にかけて出産することもあるようです。一度に3~6頭の子を産みます。野生での寿命は5年前後といわれています。
アライグマによる被害状況
農作物の被害は年々拡大しており、2016年度の被害額は全国で約3.3億円に達しています。農家では電気柵を設置するなど個々に対策を講じていますが被害を急減させることは難しいようです。
都市部では家屋の侵入が発生し、大きな問題になっています。家屋に侵入し屋根裏に住み着くと、出産や子育てをします。そうした中で糞尿や鳴き声による被害が起こり、中には壁や柱を傷つけ破壊してしまうケースも発生しています。
アライグマによる被害を予防する方法
- 農地や家屋の周囲に廃棄作物や家庭ごみを置かない
- ペットの餌の食べ残しを外に放置しない
- 自宅の池などで観賞魚を飼育している場合は金網などで覆う
- 家屋に届く木の枝などの侵入経路を無くす
- 家屋に侵入できる穴などを塞ぐ
- アライグマを見かけても餌を与えない
アライグマが家屋に住み着いてしまった場合の対処法
①専門業者に相談する
費用はかかってしまいますが専門業者に相談することをおすすめします。役所に許可を取ることで自らアライグマを捕獲すること自体は可能ですが、以下の理由からあまりおすすめしていません。
- 役所に捕獲許可を申請する必要がある
- 罠を設置して捕獲するには知識や経験が必要である
- 捕獲後、役所や業者に運搬してもらう必要がある
- 怪我や感染症のリスクがある
アライグマは鳥獣保護法の対象で許可なく捕獲することができません。必ず事前に役所に許可を取る必要があります。さらに外来生物法という法律によって生きたアライグマを運ぶことが禁じられており、うまく捕獲できたとしてもアライグマを業者に運搬してもらわなくてはなりません。
また、当然ですが野生動物は警戒心が強いため、罠で確実に捕獲するためには専門的な知識や経験が求められます。怪我をしないよう注意する必要もあります。そのため、アライグマが住み着いてしまった場合には一度専門業者に相談してみることをおすすめしています。
専門業者に相談する際は再発防止策についてアドバイスをもらうといいでしょう。家屋のどこかに侵入経路があるはずなので捕獲した後に再び住み着かないように対策を講じておくと良いでしょう。