日本ではイタチやコウモリ、ハトといった野生動物を無断で捕獲したり殺傷することが禁じられています。なぜなら、日本では鳥獣保護管理法という法律によって野生動物(鳥獣)を保護・管理しているからです。この記事では鳥獣保護管理法について、概要・対象動物・罰則規定などについて紹介していきます。
鳥獣保護管理法の概要
正式名称 | 鳥獣の保護及び管理並びに狩猟の適正化に関する法律 |
目的 | ・鳥獣の保護及び管理並びに狩猟の適正化 ・生物の多様性の確保 ・生活環境の保全及び農林水産業の健全な発展 ・国民生活の確保及び地域社会の健全な発展 |
施行・改正の背景 | ・一部の鳥獣が急激な生息数の増加や生息地の拡大 ・希少な高山植物の食害等自然生態系への影響 ・農林水産業・生活環境への被害 ・鳥獣捕獲の中心的役割を果たしている狩猟者の減少・高齢化 ・鳥獣捕獲の担い手の育成・確保 |
鳥獣保護管理法では上記の目的・背景のもと、むやみに鳥獣を捕獲・殺傷していけないとしているのです。平成27年5月29日に改正され、従来の「保護」を基本としたスタンスから、「管理」もしていこうというスタンスに転換をしました。
近年では、シカなど一部の鳥獣は生息数が増加し、生息エリアを拡大していったのですが、その結果、農作物への被害や生態系の悪化に繋がっているのです。そのため、一部の鳥獣に関しては積極的な捕獲を行い、鳥獣の生息状況を適正な状態にしていこうということで「保護」に加えて「管理」を図ることになりました。
こうした保護・管理の観点から、無断で鳥獣を捕獲したり殺傷することが禁じられているわけですね。そのため、狩猟・捕獲は環境大臣又は都道府県知事の許可を得て行うか、狩猟者登録を受けて行う場合以外は原則として禁止しています。
鳥獣保護管理法の対象
「鳥類又は哺乳類に属する野生動物」と定義されています。ただし、鳥獣保護管理法第80条の規定により、「環境衛生の維持に重大な支障を及ぼす鳥獣又は他の法令により捕獲等について適切な保護管理がなされている鳥獣」として、ニホンアシカ・アザラシ5種・ジュゴン以外の海棲哺乳類、いえねずみ類3種については、鳥獣保護管理法の対象外とされています。
ほぼ全ての鳥類・哺乳類の野生動物は対象になりますので、公園にいるハトやスズメ、害獣とされているイタチやコウモリなども許可なく捕まえたりしてはいけないということです。
違反した場合の罰則
鳥獣保護管理法に違反して野生の鳥獣を捕獲した場合は、1年以下の懲役又は100万円以下の罰金に処せられます。
まとめ
今回は鳥獣保護管理法の概要や対象について紹介してきました!たとえ害獣による生活環境の被害・農作物への被害が深刻であったとしても、駆除するために無断で捕獲・殺傷してしまうことは法律違反になりますので注意しましょう。害獣被害に悩まれている場合には、自治体から捕獲の認可を取得するまたは資格を持った専門業者に相談する等、ルールに基づいた対応をとると良いでしょう。ぜひ参考にしてみてください!